▶2009年5月17日 第29回みんなで憲法を考えてみる集い

日 時 5月17日(日)10時~12時

場 所 小金井市市民会館萌え木ホール(商工会館3階)

演 題 学校から言論の自由がなくなる

    ~都立高校校長が都教委の強権的教育行政に異議あり!~

話す人 土肥 信雄さん (前都立三鷹高校校長)

■土肥 信雄(どひのぶお)さんプロフィール

 1948年生まれ。72年東京大学農学部畜産獣医学科卒業。商社勤務を経て、73年~75年玉川大学通信教育学部で小・中・高校教員免許取得。小学校、高校教員を経て、02年都立神津高校校長、05年都立三鷹高校校長。09年3月定年退職。

 校長現職中に「職員会議において職員の意向を確認する挙手、採決の禁止」(通知)の撤回を都教委に要求。また東京都教育委員会教育委員の米長邦雄氏(棋士)を批判したとして密告され、都教委から指導される。09年度非常勤教員不合格(合格率97%)。

 現在、「学校の言論の自由」と「非常勤教員不合格」について東京都に損害賠償を求める訴訟を準備中。

【当日の模様】

 

■なぜ、現役の都立高校校長が公然と都教育委員会に異議申し立てをしたか

 石原都政下の東京都教育委員会は、それまでの職員会議を中心にした学校運営から校長の権限の強化を通じて都教委の管理教育方針を徹底させるために、1998年に職員会議を補助機関化し2006年には「職員会議での挙手・採決を禁止する通知」を出した。

 当時、都立三鷹高校の校長だった土肥先生は、これでは学校から言論の自由がなくなると批判し、2008年夏に都教委に対しこの通知の撤回と公開討論を求めた。

 都教委は拒否、逆に都教委への信用失墜行為があったとして締め付けを強化してきた。この春、土肥先生は定年を迎えたが、希望者のほとんどが採用される定年後の「非常勤教員」への採用を拒否された。

■ここで黙っていてはいけない、言論の自由を守るために、たとえ一人でも発言しなければと

 学校現場では、2003年に出された卒・入学式で日の丸・君が代を強制する「10.23通達」以降、反対者への不当処分が続いている。民主主義の大切さを教えなければならない学校で、教職員の言論の自由がなくなれば生徒の言論も抑圧される。

 土肥先生は、最後の卒業式で生徒に基本的人権の尊重と平和主義を話した。戦争は人の心の中に生まれるものだから、心の中に平和の砦を築かなければならない。平和な社会をつくって欲しい、平和だけが日本が世界に誇れるものだから、と。

土肥先生は、現在、採用拒否問題で都教委提訴の準備中である。ここで黙っていては、言論の自由の尊重を生徒に教えてきた自分の教員人生を否定することになる、生徒を裏切ることになる。たとえ一人でも発言しなければ、と提訴準備の思いを熱く語りました。

 

【参加者の声】

 

参加者 98名

1 すばらしいお話しでした。もっと以前からお聞きしたかったです。拍手。35年間小学校の教師をしていましたが、組合なくして教育はあり得ません。

2 武蔵野公会堂の集会にも出ましたが、今日はずいぶん元気な講演でした。大変良かったと思います。

3 大変すばらしいお話しでした。最近の教育行政には大きな危惧をもっていました。今日の土肥先生のお話はこういう校長先生がいらしたこと、子どもたちにとってすばらしい実践だと思いました。勇気をもらえたと思います。ありがとうございます。

4 土肥先生の存在はテレビで知っただけだったが、実際に本人の口からことの成り行きを聞くことができてよかった。僕は教師に育てられたのを実感している人間なので、職場環境を守る人がいてくれることが嬉しかった。少なくとも自分だけはこの問題を見守り、できれば参加していきたい。

5 話が具体的。都教委に密告があるなど、多くのエピソードが聞けてよかった。私も教師をしていたが、生徒の名前を覚えられなくて困った。1学年300余名の生徒の名前を覚えるのはすごいことだ。裁判を起こした理由も理解できた。

6 言論の自由は大切です。土肥さんぜひ頑張ってください。

7 小学校の教員をしています。今年で4年目、学校の中は疑問に思うことばかりです。子どもには「こうだ」と教えているのに、現場は正反対の社会です。先生のことはマスコミなどで応援していました。今日お話しを聞けて明日からの勇気がわいてきました。先生の身体が続く限り、こういう会でたくさんの人に訴えて、教育を支えていって欲しいです。頑張ってください。

8 教育現場を離れて10年になります。教育現場の荒廃ぶりが、本日のお話で本当に良く分かりました。改めて、都教委の姿勢を改めさせるべく、行動しなくてはと思いました。土肥先生の裁判を支援します。

9 土肥先生のように、何が人として正しいかを前面に行動できる勇気を、私はありがたいと思います。おもねることを締め出すことができたら、世の中は明るく大らかになります。

10 率直なリアルな現場報告の迫力を実感しました。教育行政のいびつさ、偏向を具体的に把握できました。教育関係者には珍しいフランクで率直な人柄には好感を持ちました。教育論よりも人の生き方、民主主義の世での生き方として再認識できてよかった。励まされた。

11 529日の朝日新聞の朝刊を見たとき、即感動し涙が止まりませんでした。そして今日の集会を知り参加しました。77歳の今まで、こんな校長先生にお会いしたことはありません。孫が4人いますが、大学生の孫が現在中2の妹に三鷹高校に行くといいよ、と言っています。

12 都教委の問題点をあぶり出し注目度を上げた土肥さんの発言、行動は正しいと思います。

13 定年退職した元教員です。管理職として勇気を持って行動される土肥先生に励まされますし、展望を見出せます。教え子の入学式に悔しい思いをした直後でもあり、この会の計画がとても嬉しかったです。

14 当たり前のことを当たり前に言える社会、それが教育の場で押さえ込まれてしまったら、人間は育っていかない。柔軟な思考ができる社会なら、人は少しづつでも変わっていけるという希望の持てるお話しでした。

15 タイムリーな講演でした。土肥先生のお話をお聞きしたくて色々な会場に出向いていますが、このくらいの会場ですと身近に感じられてとてもよかったです。

16 正しいと思うことを言ったりするのに、過大な勇気を要求される社会は本当に怖いと思います。今日のお話を聞けたことで勇気がわいてきました。

17 言論は、内心の自由は保障されるべきです。裁判終結後、また講演をお願いします。

18 ありがとうございました。学校に意見を力がわいてきました。言論自由でがんばります。

19 もっともっと聞きたくなりました。2時間が短かったです。日ごろ、1教育委員会、2現場の教員、3子ども・保護者のうち、1と2は密接につながり3はいつもなにも知らされていないと感じます。2と3がもっと近く、つながっていけるようになって欲しいです。

20 聞きたかったので本当によかった。小金井でも同じようなことが起こっているのでしょうね。この右寄りな日本の空気が非常に怖いと思います。この流れをくい止めるために、このようなアクションが増えていかなければならない、と思いました。

21 現在の東京の教育界をめぐる言論統制問題を、大変リアルに話していただき理解が深まった。

22 朝日新聞のオピニオン欄(土肥先生の記事)を以前読んで、こんな先生が増えるといいなあ、と思いました。土肥先生の今後の裁判経過(結果)の報告会があるといいですね。

23 私の下の職場関係でもビラまきで逮捕された人がいて、現在裁判中です。表現、言論の自由を守るため手

24 私の孫娘は現在三鷹高校生です。入学以来、土肥校長の話をよくしていました。彼女は今、小学校教員をめざしています。今日はありがとうございました。

25 土肥先生のいつも元気なエネルギッシュなお話には感激しました。教育の基本である生徒を中心に考え、情熱を持って接し姿は理想的だなと重いました。裁判もがんばっていただき、東京都の教育が少しでもよくなることを願っています。早く教育現場に戻ってくださいますように。

26 新聞等で勇気ある校長先生の件について、また都教委の卑劣な非民主的な指導の様子、そしてそれを社会的に公表しようとしないマスコミとその裏の勢力は知っていましたが、お話を聞いて大変身近に感じました。

  こどもたちの反響のすばらしさ、この子達は将来、自分で考え、人と論議することができる人になると希望をもちました。

27 分かりやすく、だれもが聞いても納得する内容だと思います。また、土肥先生の人柄がとてもすばらしい。

  参加が多く嬉しいです。会の成功もありますが「言論の自由」の侵害を許さないという人々の多さに励まされました。

28 憲法で思想言論の自由があったと思うのですが、知らず知らずのうちに侵されてきたんだなあ、と思いました。憲法は、国民の不断の努力で守らねばならない、と書いてあったと重います。「今が正念場」ではなく「いつでも正念場」だと肝に銘じていきたいと思います。

29 ものすごく迫力のあるお話でとても感動しました。言論統制が憲法違反であることを、裁判で明らかにして欲しい。憲法九条を守るためには、言論の自由を守ることがまず大切だと思いました。

30 都教委の現況は、委員会不要論につながる。市町村委員会では、都の委員会より自由かつ信念をもって判断しているところもある。裁判の結果が待たれる。

31 教育のなかで管理教育が強まるなかで、これからの社会を担う子どもたちの為はもちろん、現場で働く教職員にとっても力強い先生のお話しを聞き、また卒業した多くの生徒たちのメッセージを読み、親としても感動しました。がんばってください。幼児教育に携わっている者として、だんだんと教育内容等も管理強化の動きが出ているので、仲間と共に少しでも守って行きたいです。

32 私の夫も公立中学校の校長でした。12年前の退職でしたので、今ほどではなかったとはいえ、日の丸、君が代はじめ様々なしめつけが強まっていました。その中で、教育者として学校経営に責任を持つ校長としての信念にもとづき戦っていました。校長としての評価について「開示」を求めたこともあります。土肥先生の「公」の場での論争に大きな期待と心からの支援をしている、と伝えて欲しいと申しておりました。(今日は都合で参加できず残念だと)

   今後ももっと広く世の中にしらせていくことが必要です。活動、戦いのためのカンパも必要と思います。健康に留意して頑張ってください。

33 先生の授業は、こうなんだろうと思いました。怒って、笑わせて、ホロリとさせて、生きていくうえでの大事なことに気付かせてくれました。時間がなくて今日は来れなかった息子にも聞かせたかったですね。裁判、ぜひ勝ってください。勝ちましょう。そうでなければ若い人たちの未来はありません。

34 現在、都立高校に息子を通わせている母としては許せない内容です。私も組織で働く職員ですが、このような非常識がまかり通るところが信じられません。

35 自分の学生時代、特に都立高校の3年間は土肥先生のような教師がたくさんいて、当時はそのありがたみを分からず、自然のものとして過ごしました。公務員になった今、公務員の職場というのは高校時代に培った自分の考え方を否定される組織でした。土肥先生のお話しを聞いていて、機関は違っていても同じ問題があるように思います。

土肥先生のことは、今の日本社会全体にあるし、全体がつくりだしているのではないだろうか。土肥先生は、本当に大きな問題に取り組まれているように思えてなりません。

36 「学校現場が元気がなくなっている」「定年の前に退職する先生が増えている」「心を病んでいる教員が増えている」・・・心配なことがとても増えています。

土肥さんが類まれでないような教育現場になって欲しいです。よれよれで疲れている教職員を身近に見ていると、ため息が出ます。言論の自由を守っていかなくては。どうぞ土肥さんがんばってください。

37 日本社会と同じようなことが教育界にも起こっているらしい。言論の自由を追求してください。応援します。

38 私の娘は中学校の音楽教師です。卒業式、始業式の間近になると日々悩んでいる様子です。50代の女性教師たちが早く辞めようと話し合うことが多いとのことです。早く辞めたいと思っている教師に教わる子どもたちは気の毒ですね。教える側に楽しさや喜びを持たない教育となる学校には将来不安を感じています。子どもたちには夢と理想を持って欲しいのです。

 

■過去の講演記録■■■

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2016年12月4日(日)

午前10時~12時

ピースアクション講演会

「もしも、自民党改憲草案が実現したら?」

場所 小金井市萌え木ホール

参加費 500円

主催 こがねいピースアクション2015実行委員会

1204内山宙さんチラシ.pdf
PDFファイル 1.1 MB

過去の講演関係の

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