第78回みんなで平和を考えてみる集い

講演      日韓対立と北東アジアの平和問題~韓国・中国に対する日本人の歴史認識

            を中心に

話す人   吉田   裕 (よしだ  ゆたか)さん(一橋大学名誉教授・特任教授、日本近現代史)

日時      2019年11月23日(土・祝)10時~12時15分

会場      小金井市市民会館萌え木ホール

吉田 裕さんプロフィール
1954年埼玉県生まれ。東京教育大学文学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。一橋大学名誉教授・社会学研究科特任教授。東京大空襲・戦災資料センター館長。日本近現代史。
主な著書 「日本人の戦争観~戦後史のなかの変容」(2005年、岩波現代文庫)、「日本軍兵士~アジア・太平洋戦争の現実」(2017年、中公新書)、「日本人の歴史認識と東京裁判」(2019年、岩波ブックレット)他多数

■大切なのは朝鮮半島の植民地支配と加害の歴史に誠実に向き合うこと

   いま韓国との関係は戦後最悪と言われています。安倍政権の強権的対応に加えて、「反日」と「嫌韓」を煽るようなメディアの商業主義もこうした傾向を助長しています。 慰安婦や徴用工の問題に象徴される日韓対立の根底には、1910年からの韓国併合という日本の朝鮮植民地支配に対する両国の歴史認識の違いがあります。
ドイツでは大統領が「この戦争はドイツの責任、ポーランドの方々の前で私は頭を下げ、赦しを請う」と謝罪しています。日本と大きな違いです。
韓国、香港、台湾と、いまアジアは動いています。私たちがアジアの人びとと真に友好・
連帯してくためには、過去の植民地支配・加害の歴史に誠実に向き合うことが大切です。

吉田裕さんは語りました。

冷静になって考えてみれば、外交には落としどころがある、自分の国の主張ばかりしていては外交ではない。政府が介入せず、なぜ民間レベルで解決できないのか。日中ではまがりなりにも民間レベルで和解が成立している。

今まで自分たちの歴史認識、記憶がどういう力学のなかで形成されてきたのか、過度に強調されてはいないか、あるいは忘れ去られた記憶はないか。批判的に内省的に問い直して検証していく必要がある。このことは日本だけではなく韓国も同じだと。

日本がその姿勢を明確にすれば対話の糸口が見つかるはず、と吉田さんは語りました。

当日の講演記録

■当日の会場の模様

■当日の講演資料

1.講演レジメ.pdf
PDFファイル 336.9 KB
2.講演資料.pdf
PDFファイル 545.7 KB

■参加者アンケートのまとめ

【参加者数】

参加者 120人 

【参加者住所】 

小金井市内64人、市外56人 

【参加回数】 

初参加19人 2回目5人 3回以上97人  

【アンケート回収数】 

38枚(よかった34枚 ふつう2枚 よくなかった0 NA 2枚) 

【講演を知った機会】(複数回答あり) 

.郵送案内のはがき(26) 2.市民掲示板のポスター(3) 3.新聞折込のちらし(4) 4.HPで(1) 5.友人・知人から聞いて(2) 6.メディアの案内情報(4) 7.その他(0) 

■参加者の声

 1   以前から吉田先生のご著作を拝読していましたので、とても良い機会を作って下さりありがたく思い

    ます。現代の憂うべき世の中の風に至る過程を簡潔につまびらかにしていただいた講演だったと思い

    ます。惜しむらくは多くの若い方々に、このような講演を聞いていただけたら…と感じました。吉田先生

    の質疑応答のご対応に感服! 

 日韓共通の歴史教科書が両国の歴史研究者によって作られたり、民間レベルの努力があるものの、「戦争こりごり感」を次世代にどう伝えていったらよいのか、とても難しく感じます。特に日本のようなアジアに対する上から目線を変えて行かないと火種は残り、紛争の誘因になる気がして恐ろしいです。 

吉田先生のお話は、デマゴーグ的な論調でなく、静かに私たちに反省を促すもので好印象でした。ありがとうございました。 

3   私の勉強不足もありますが、私の時代に学校では全く教わっていないことに気付きました。特に近現代史は教えられていないです。保守の政治家に都合悪いのでしょう。もっと吉田先生のお話し時間をかけてお聞きしたいです。ありがとうございました。 

 歴史の「おさらい」ができたのはよかった。植民地主義を中心に日本の(国及び民衆を含め)加害者責任への言及、踏み込みが少なかったのは惜しい。そのことが結局、加害者意識の弱さをもたらし、さらに自虐史観批判に根拠を与えている。もちろんレジメには書かれた部分はありますが。印象としてそんな感じを抱きました。 

安倍政権との関わりにも、もっと触れて欲しかった(学術レベルではこうした講演になるのは止むを得ないと思うが)。全体として、個々の事象に対する「評価」が少なく、説明が多かったように思う。 

 被害者と加害者の認識は全く違うことを、日本では理解させる教育がないと思われる。嫌韓を煽る政府、メディアには深い罪があります。民間交流までも細ることが大変残念です。 

 国民意識に言及していることは良かった。安倍のせいばかりにできないはず。なぜ「日韓併合」などと植民地支配責任を美化するのか。95年の頃には若い世代ほど戦後補償に積極的だった。ところが20数年経って60代以上の侵略美化・戦争責任否定が顕著だと言う。なぜ? 

 目下、最も緊急で重要な日韓問題について、大変深く総括的なお話しで本当にためになりました。 

 自分の知らないこともあり、大変参考になりました。 

 自分がなんとなくでしか理解していなかったことを詳しく資料を交えながらお話をしていただいてよく理解できた。また知らないことも多かったのでとてもためになった。 

10 改めて今の日韓関係に至る経緯の現政権の歴史認識の問題点がよく理解できました。分かりやすい資料ありがとうございました。どうやって若い世代に健全な(!)記憶を伝えていくか悩ましいところです。 

11 歴史認識のつくられ方を検証する必要性、歴史の複眼的思考の必要性という講師のお話が強く印象に残った。国民が問われている歴史認識に対して今後勉強していきたいと思う。 

12  ありがとうございました。現在韓国と政治的に争いがありますが、古来より彼の国とは常に深く交流しており、今後もずっと互いの国を尊重し、大いに協力が必要と感じるところであります。本日のお話で、在りし日の振り返り、歴史認識をより深くし、互いの国、人々の交流をしなければという思いを深くしました。 

13 安倍が嫌韓以来、天皇の慰霊先も変わってきている、との指摘は示唆的だと思った。 

14 対中国と対韓国の違いはいったい何なのかを、もう少し深めた論議が望まれます。 

15 自分の歴史認識の弱さを痛感した。 

16 詳しい資料が付いていたので大変分かりやすかったです。これらを吉田氏のご著書と併せて熟読したいと思います。 

17  現代・近代の歴史を充分学ぶ機会もなく、最近の日本の政権や日韓問題、米との関係、さらにメディアの報道に強い危機感を持っていました。自分自身の認識が不充分だったので、本当によい機会になりました。本を読むことも大変になり、ありがたい講座でした。分かりやすい資料とそれに沿ったお話で、理解しやすく良かったです。 

18  対中国政策と朝鮮政策の違いがあることを認識。私はいま建設アスベストの事務局をしていますが、弁護団長は残留孤児や強制連行問題を行った弁護士です。今度よく聞いてみます。この朝鮮地域、人たちへの日本人の差別意識の根本には、東アジアの小帝国主義国としての認識がかかわっていると思う。朝鮮だけでなく、沖縄、アイヌの人達に対しても同じと思う。 

19  大事な内容だというのは分かっているが、ただ聞いているだけだと頭に入りにくい。年表や図解などあると理解しやすいのではないか。 

20  戦後史について系統だったお話しが聞けて貴重な時間だった。やはり安倍が悪いが、なぜこんななのか怒りと歯がゆさを感じる。 

21  分かりやすいお話でした。対中国とは異なる韓国への軽視という以前からの傾向があることに気付かされました。 

22 報道や政治家が発言しない(隠している)ことも含め、きちんと押さえておかないと簡単に騙されてしまうと感じた。彼らの発言、報道に「変だ」と感じても反論できないでいたので。 

23 ある政府の要人が「韓国に対しては冷静に無視するしかない」と言った。こうした「嫌韓思想」が根強く流れている。もう一度、国を挙げてこの点を見直すべき。ある学者が「韓国には文化における大恩がある」と述べているが、こうした視点を持って対応すべき。対立は両国にとって不幸でしかない。 

24 天皇代替わりを祝う宮中晩さん会での安倍の万歳は、腹立たしかった。戦中にタイムスリップしたようだ。「天皇陛下万歳」で散った多くの兵士がいた。戦争に巻き込まれた他国の首脳たちも多数参列されるなかで、しかも敷居を踏みつけながらの礼儀知らず。各国首脳たちはどう思っただろうか。その声が聞こえてこない。 

25 東京裁判史観とは、ということが分かった。裁判の問題は天皇の戦争責任を扱わなかったこと。天皇のことば、これに左右されてはならない。歴史修正主義に対抗していくことの大切さが分かった。 

26  結局、日本政府は中国には反抗できなくて、韓国を小ばかにしているだけではないか。戦争時の日本の発想。中国には土地を取りに行った。朝鮮には人を取りに行った。戦争に負けた。中国では土地を手放して帰ってきた。朝鮮には何も残さないで帰ってきた。が日本国内に朝鮮人がいた。 

さつもいも作りで連れてきた農耕兵、軍需品製造で連れてきた徴用工、娼婦として連れてきた慰安婦。自民党+日本会議は、対中国は武力を恐れごめんなさい。対朝鮮・韓国は相手が弱いので、忘れました、知りません、ととぼけている。自民党+日本会議は全く卑怯な奴らだ。日本人は卑怯ではありません。

                                                                                                                                                    以上

 

■過去の講演記録■■■

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2016年12月4日(日)

午前10時~12時

ピースアクション講演会

「もしも、自民党改憲草案が実現したら?」

場所 小金井市萌え木ホール

参加費 500円

主催 こがねいピースアクション2015実行委員会

1204内山宙さんチラシ.pdf
PDFファイル 1.1 MB

過去の講演関係の

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